空き家バンクとは?基礎知識から不動産業者しか知らない裏知識まで解説

空き家バンクとは?基礎知識から不動産業者しか知らない裏知識まで解説

昨今ではニュースなどでもよく耳にするようになってきた「空き家バンク」とは何なのか。気になっていませんか?

空き家バンクとは、利用されていない空き家を持っている所有者が各自治体に情報を登録してもらい、専用ホームページ上で希望者に情報提供するシステムのこと。

各自治体がやっているシステムなので、絶対に信頼がおけると思いますよね?

しかし実は空き家バンクはアットホームやスーモように「ただ物件を掲載してくれるだけ」という事実をご存知でしょうか。

つまり、あなたが期待しているような各自治体のサポートというのは一切受けることができません

取引中に何らかの問題があったとしても、自治体側か責任をとってくれることなんて一切無いのです。

もしこの事実について知らなければ、「空き家バンクを利用したのだから、自治体の手厚いサポートを受けることができる」と勘違いして、期待はずれの内容に落胆してしまうかもしれませんよ。

しかし、ご安心を。今回の記事では空き家バンクとは何なのかという基本的な知識はもちろんのこと、不動産業者にしかわからない裏事情まで解説しています。

「空き家バンクとは何か気になっている」「将来的に使おうと思っている」という人には必見の内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

そもそも空き家バンクとは?

まずは空き家バンクとは何なのかを簡潔に解説していきましょう。

空き家バンクとは、利用されていない空き家を持っている所有者が各自治体に情報を登録してもらい、専用ホームページ上で希望者に情報提供するシステムのこと。

簡単に言えばスーモやアットホーム、ホームズなどのインターネットポータルサイトを各自治体が運営していると思えばわかりやすいでしょう。

なお空き家バンクが担当するのは、不動産情報の掲載・提供だけです。

実際に売買賃貸として契約する際は、各自治体と提携した「宅建協会」と「全日本不動産協会」に所属する不動産業者が各種実務をおこないます

この仕組みについても、スーモやアットホームなどのインターネットポータルサイトと同じですね。

空き家バンクに登録できる4つの要件

ここまでは空き家バンクの基礎知識について紹介してきましたが、実は空き家バンクには「登録条件」が存在します。

つまり、どの不動産も空き家バンクに登録することができないわけです。

登録条件は各自治体によって変わってきますが、主に以下の通りになりますよ。

空き家バンクができる4つの要件

  1. 該当する各自治体に存在する住宅
  2. 宅地建物取引業者(不動産業者)と媒介契約を締結していない住宅
  3. 建築基準法違反を犯した住宅ではない
  4. 各自治体の最高責任者(市長など)が不適切と判断しない物件

では上記の登録条件について、補足知識を解説していきましょう。

【補足1】媒介契約を締結した物件とは?

媒介契約とは不動産の売買・賃貸をするにあたって、宅地建物取引業法に基づいた契約のことです。

この媒介契約を結んでいる物件は、空き家バンクに登録することができません、

簡単に言えば、「すでに不動産業者に売却を依頼している物件は空き家バンクに登録することができない」ということになりますね。

【補足2】建築基準法に違反する物件とは?

建築基準法に違反する物件とは、土地に対して建築してもよい広さを上回る住宅が該当します。

他にも「建築確認」と呼ばれる、建築基準法に該当しているかどうかのチェックを受けていない物件も対象になりますよ。

【補足3】各自治体の最高責任者が不適切だと判断する物件とは

市長や区長などの各自治体の最高責任者が不適切だと判断した物件は、空き家バンクの利用がアウトになります。

具体的にはテナントや一棟売りマンションなどが該当します。いわゆる「事業用不動産」ですね。

空き家バンクは、基本的に一般消費者が使うべくして作られた情報提供システムです。

そのため、一般向きとは言い難いマンションの一棟売りや、店舗の売却等は不適切だと認められるケースが多いですよ。

空き家バンクの登録の5ステップと申請方法

ここまでは空き家バンクの登録条件について紹介してきましたが、実際に空き家バンクを登録したいのであれば、以下の流れを経ていく必要があります。

空き家バンクの登録の5ステップ

  • STEP1.各自治体の空き家バンク担当課に申請書を提出
  • STEP2.空き家バンク担当課が調査を行う
  • STEP3.空き家バンク担当課が不動産業者を選定する
  • STEP4.空き家バンク担当課が選定した業者の中から持ち主が担当してもらう1社を選ぶ
  • STEP5.物件情報を空き家バンクに登録する

このように基本的には空き家バンクを運営している各自治体が不動産業者を紹介してくれ、物件の情報をインターネットに公開するホームページで公開するという流れです。

通常の売買契約において、不動産業者と持ち主が行うやりとりにちょっとずつ各自治体が首を突っ込むわけですね。

「不動産業者と1対1でやりとりをするは嫌だ」という人にとっては良い方法だと言えるでしょう。

なお各自治体の空き家バンク担当課は、「自治体名 空き家バンク」で検索するとわかりますよ。

詳細を掲載しているページでは、申請書をダウンロードすることもできます。

空き家バンクを利用前に知るべき4つの注意点

ここまでは空き家バンクを申請する際の流れについて紹介してきましたが、もし利用しようと思ってるのであれば、以下の4つの注意点をきちんと把握しておいてください。

空き家バンクを利用前に知るべき4つの注意点分

  1. 取引が成立したら仲介手数料が発生する
  2. 入居希望者が出てこなかったとしても自治体が責任を負う事は無い
  3. 自治体は空き家バンクに登録した後の契約や交渉等には一切関与しない
  4. 契約成立後に発生した紛争に関しても一切関与しない

通常、不動産業務において物件を紹介した側には一定の責任が降りかかると決まっています。

つまり契約成立した後に起きた紛争の解決や、契約に関するミス等についての責任追及をされるわけです。

しかし空き家バンクを運営する各自治体は、それらの責任について完全にスルーしています。

つまりはスーモやアットホーム、ホームズ等と同じ立ち位置(物件情報提供しているだけに過ぎない)ということを主張しているわけですね。

また勘違いされがちですが、空き家バンクを使っても「仲介手数料」(売買は物件価格×3%+6万円・賃貸は家賃の1か月分)は必ずかかると言うのも忘れてはいけません。

ちなみに仲介手数料を支払いするのは、各自治体ではなく物件の取引を担当した不動産会社になりますよ。

【裏知識】不動産業者から見た空き家バンク

ここまで「空き家バンクとは何なのか」という観点で様々な知識を紹介してきました。

ただし、現役不動産業者である筆者からすると、空き家バンク自体はあまり重要視しなくてもいいと思っています。

何故かというと、先ほども解説した通り、空き家バンクは物件を掲載してくれるだけで、重要な部分で自治体が全く関与していないから。

先ほどご紹介した通り、空き家バンクに掲載した後、何かしら問題があったとしても自治体は問題の解決について何かしらのアクションをしてくれませんし、責任を取ってもくれません。

言い方は悪いですが「空き家バンクに載せた後はもう知らない」と言ってるのとあまり変わらないのです。

能力のない不動産業者を選ぶことも多い

先述したように、空き家バンクを利用する際、自治体側があなたの物件の担当となってくれる業者をいくつか選定します。

しかし、この選定は正直言って、あまり能力のない業者が選定されることが多いです。

つまりは、空き家バンクの仕事なんてやってる暇がないというようなバリバリの仲介業者を選定することはなく、何もしなければ仕事がないというような業者ばかりが選定されるのです。

あまり業務をこなしておらず、たまにしか仕事をしないような業者が選定されるので、仕事も遅くてあまり質が高くないことも少なくありません。

空き家バンクでは本当の「安心感」は得ることができない

このように空き家バンクの利点は、各自治体が絡んでくれるという「表面上の安心感」しかありません。

最後まで自治体が絡んでくるのであれば「安心感があるので使ってください」と言いたいのですが、重要なことは何もしてくれない実態があるため、声を大にしてオススメできません。

ただ空き家バンクという言葉が広がってきており、空き家バンク経由で物件を探そうという人が少なからずいるのも事実です。

そのため、アットホームやスーモで見つからなかったという人が空き家バンクを使うというのは、選択肢としてはアリかもしれませんね。

ただ基本的に「すぐに売りたい」「高い高値で売りたい」と思っているのであれば、空き家バンクを利用することはオススメできません

アットホームやスーモに掲載している不動産業者に、直接依頼した方が良いでしょう。

例えば、JAKSのような空地空家などを相談できる不動産業者を見つけることができます。

まとめ

空き家バンクとは、利用されていない空き家を持っている所有者が各自治体に情報を登録してもらい、専用ホームページ上で希望者に情報提供するシステムのこと。

各自治体が運営しているせいか「空き家バンクを使えば、安心して不動産売買ができる」と思いがちな制度です。

しかし、ここまで解説した通り、各自治体が顔を突っ込むだけ突っ込んで肝心なところは知らんぷりする制度なので、あまり優れた制度とはいえません。

そのため、もし不動産を売却しようと思っているのであれば、空き家バンクではなく普通に不動産業者に依頼する方が良いでしょう。

「空き家バンクを使おうと思っている」「興味がある」という人は、今回観察した内容ぜひ参考にしてみてください。

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